ピアノの豆知識 Q.51 アップライトピアノとグランドピアノ 違いはなあに?

こんにちは!
ピアノ調律師の吉田玲奈と申します。
ご覧いただきまして、ありがとうどざいます。
ピアノのちょっとした豆知識を、ちょこちょこ、
簡単にご紹介していくページです。

Q.51 アップライトピアノとグランドピアノ
違いはなあに?

ざっくりご説明すると下記の3点が違います。

①アクション
②ペダル
③音

詳しく知りたい方は☟

①アクションの違い

ピアノは鍵盤を押すとハンマーが弦を打って音がなります。
そして、鍵盤から指を離すと音が止まります。
音がなったり、止まったりさせる動きの仕組みのことを
アクションといいます。

《弦とハンマーの位置・連打性能》

《タッチ》

指先でアフタータッチを感じられ
指先の力がハンマーアクションに伝わりやすく
タッチを変えることで様々な音楽表現が可能。

構造上グランドピアノに比べると微妙なタッチによる
音色の変化を表現しにくいです。

《止音》

音を止める部品(ダンパー)が打鍵する反対側から
重力で弦を押さえ止音します。
確実な止音ができます。

音を止める部品(ダンパー)が
ハンマーと同じ側で、横から止音します。
バネで補助はしているものの
止音効果は
グランドピアノに比べると低くなります。

②ペダル

《右ペダル》

グランドピアノとアップライトピアノ共に
鍵盤から指を離しても音が長く伸びる、響き続ける効果
あるペダルです。
構造は少し違いますが、原理は同じです。
(この写真はアップライトピアノのダンパーです)
弦の響きを止めているダンパーという部品の全てが
弦から離れることによって、弾いていない音も共鳴し
豊かな広がりある音を響かせます。
ダンパーペダル、ラウドペダル、サスティンペダルなどと
呼ばれています。

《真ん中ペダル》

製造されてから年数が経っているピアノだと
真ん中ペダルが無く、2本ペダルの場合もあります。

ペダルを踏んだ時に弾いていた鍵盤の音だけを
長く伸ばすことができる効果
のペダルです。
このペダルを踏む前に押していた鍵盤のダンパーだけが
弦から離れている状態になり、このペダルを踏んでいる間は
その鍵盤だけ指を離しても音が止まらずに伸び
ペダルを踏んだ後に弾いた他の音には
ペダルの効果を受けていないので
全部の音がぼけることなく
部分的に音の響きを調整してくれるペダルです。
ソステヌートペダルと呼ばれています。

マフラーペダルや弱音ペダルと呼ばれるペダルが
基本的には付いています。
大きな音で練習できない時に使用するペダルで
ハンマーと弦の間にフェルトが入ることで
音量を小さくできる効果
があるペダルです。

踏んだ後に左にペダルをずらすことで固定でき
踏みっぱなしの状態にすることができます。

弱音ペダルと同じ効果になるハンドマフラーというレバーが
ペダルとは別のところに付いているピアノもあります。
(グランドピアノにも付いている機種があります)
その時のアップライトピアノの真ん中ペダルは
低音ペダル(低音部だけダンパペダルのように音が伸びるペダル)や
ソステヌートペダルが付いているピアノもあります!

《左ペダル》

グランドピアノ、アップライトピアノ共に
響きを弱める効果があるペダルですが、
全く違うやり方(構造)で効果を作り出しています!

ピアノは1つの音に対して
3本の弦を同時に打って鳴らしています。
(低音は、だんだん弦が太くなり、2本、1本と数が減っていきます)
ペダルを踏むと鍵盤全体が右に少しずつずれると思いますが
ピアノの内部では弦を打つハンマーを含め
たくさんの部品が塊で一緒にスライドしています。
ただし、弦の位置は変わらないため、
ハンマーの位置がずれると、
3本のところは2本、2本のところは1本と
打たれる弦の数が減る仕組みになっています。
打たれる弦の数が減った分、音が弱まり
普段当たらない溝のあまり付いていない

ハンマーフェルトの部分に弦が当たるので、
音色も微妙に変化
します。
シフトペダルやリフトペダル、ウナコルダ(1本の弦)と呼ばれています。

ハンマーと弦の距離を近づけることにより
ハンマーの当たりを柔らかくし響きを弱める仕組み
になっています。
本当に若干弱まったかな?くらいです。
騒音問題的に弱音にしたい場合は真ん中ペダル
演奏表現的に音を弱めたい場合は左ペダルというイメージ。
ソフトペダルと呼ばれているペダルです。

《ペダルの効果についてまとめた一覧表》

③音の違い

①アクションの違いで
グランドピアノとアップライトピアノは
構造が違うという話をしましたが
ここでは、構造が違うことにより生じる
音の違いについてご説明します。

《・・・とその前に響板とは》

まず、音とは物質中を振動が伝わっていく現象のことなのですが、
響板は、弦の振動を増幅させ、音響効果を高める木の板です。
いわゆるスピーカーの役目を果たしている部品のことですね。

それを踏まえて☟

《弦の長さ→強弱の幅に違いが出る》

アップライトピアノよりも
グランドピアノの方が
弦長が長く取れ、ピアノ全体が共鳴体となるため、
強弱の幅が広く、低音から高音までのびやかに響きます。

《響板の振動面積→強弱の幅に違いが出る》

アップライトピアノの方が響板の振動面積が狭いため
強弱の幅がグランドピアノより狭いです。

《響板を開放的にできるか否か》

屋根を大きく開けることにより
響板からの直接音や反射音を耳で聴きながら
演奏できるため、繊細な表現が可能
です。
音が濁らずクリアに響き
細かなニュアンスや音色の変化を表現できるのは
グランドピアノの方が上回っていると思います。
(その分、価格ももちろん高価ですが)

通常、壁につけて設置される場合が多く
響板の前後が塞がれ、箱に覆われてる構造なので
音はこもりがちです。
そのため、外装を通り抜けた音を聴いての演奏になります。
また、ボディが小さいため、屋根を開けて弾いたとしても、
グランドピアノの音量には及びません。

長くなりました・・・。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。