こんにちは!
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ピアノ調律師の吉田玲奈と申します。
グランドピアノとアップライトピアノ。
まず見た目の違いは、みなさんも見てわかる通りだと思います。


今回は、楽器的にはどのような違いがあるのか、深堀りしていきたいと思います。
目次
違いについて大きく分けると・・・
下記の3点が違います。
❶アクション
❷ペダル
❸音
アクションとは?
ピアノは鍵盤を押すと、ハンマーが弦を打って、音が鳴ります。鍵盤から指を離すと音が止まります。音が鳴ったり、止まったりさせる仕組み、動きをアクションといいます。
❶アクションの違い
弦とハンマーの位置と連打性能、タッチ、止音の違い
ーグランドピアノー

弦が水平に張られており、ハンマーが下から弦を叩いて音が鳴り、自重で自然に元の位置に戻ってくれる仕組みになっています。

上記〇で囲んでいる部品(レペティション機構)があることによって、ハンマーや鍵盤が完全に戻らなくても次の打鍵ができるのもグランドピアノ特有の特徴で、素早い連打ができる構造になっています。(1秒間に約14回、打鍵が可能)
そして、このレペティション機構があることによって、グランドピアノにしかない感覚、アフタータッチも生まれます。アフタータッチとは、グランドピアノの鍵盤を押したときに途中で”かくん”と引っ掛かる感触のことです。ゆっくり鍵盤を押してみると分かりやすいので、一度試してみてください!
このような構造になっていることにより、指先の力がハンマーアクションに伝わりやすく、タッチを変えることで、様々な音楽表現が可能です。

音を止める部品が打弦する反対側から自重で弦を押さえ止音します。確実な止音ができます。
ーアップライトピアノー

弦が垂直に張られており、ハンマーが横から弦を叩くことで、音が出る仕組みになっています。そのため、バネの力を使ってお助けはしてますが、ハンマーの戻りには限界があります。(1秒間に約7回、打弦が可能)
構造上、指先の力の伝達がグランドピアノに比べると少し劣ってしまうので、微妙なタッチによる音色の変化を表現するのは難しい印象です。

音を止める部品(ダンパー)がハンマーと同じ側から、そして、弦の横から止音します。止音効果は、グランドピアノに比べると低くなります。
❷ペダルの違い


右のペダルは、音が伸びるというのは、グランドピアノもアップライトピアノも共通の効果になっており、ご存じの方も多いのでは?
逆に、他のペダルはどういう効果なのか知らない方もおられると思いますし、グランドピアノ、アップライトピアノによっても少し違うのもご存じない方もおられるのではないでしょうか。
実は、ペダルの効果は似ているが内部構造が違うかったり、はたまた、そもそも効果が違ったりもします。
右のペダル

グランドピアノ・アップライトピアノ共に、鍵盤から指を離しても、音が長く伸びる、響き続ける効果があるペダルです。
構造は少し違いますが、原理はグランドピアノもアップライトピアノも同じです。

弦の響きを止めているダンパーという部品の全てが弦から離れることによって、弾いていない音も共鳴し、豊かな広がりのある音を響かせてくれます。
ダンパーペダルやラウドペダル、サスティンペダルなどと呼ばれています。
真ん中のペダル
グランドピアノ・アップライトピアノでは、効果が全く違うものになります。また、製造されてから、かなり年数が経っているピアノだと、真ん中のペダルがなく、ペダルが2本のピアノもございます。
ーグランドピアノー

ソステヌートペダルと呼ばれるペダルです。
「ペダルを踏んだ時に弾いていた鍵盤の音」だけを長く伸ばすことができる効果のペダルです。
このペダルを踏んだ時に、押していた鍵盤のダンパーだけが、弦から離れている状態になります。そして、このペダルを踏んでいる間は、その鍵盤だけ指を離しても、音が止まらずに伸びます。ペダルを踏んだ後に弾いた他の音には、ペダルの効果を受けないので、全部の音がぼけることなく、部分的に音の響きを調整できるペダルです。
グランドピアノをお持ちで使ったことがない方や、習っておられるピアノの先生のピアノがグランドピアノならば、ぜひ、一度試してみてください♪
ーアップライトピアノー

基本的に、マフラーペダルや、弱音ペダルと呼ばれるペダルが、基本的にはアップライトピアノに付いています。

大きい音で練習できない時に使うペダルで、ハンマーと弦の間にフェルトが入ることで、音量がとても小さくできる効果があるペダルです。

踏んだ後に左にペダルをずらすことで固定し、踏みっぱなしの状態にすることもできます。
ハンドマフラー
ハンドマフラーというレバーが付いているピアノが、グランドピアノ・アップライトピアノ共にございます。
ハンドマフラーは、アップライトピアノのマフラーペダルと同じ効果を作ることができます。レバーでピアノ内部にあるマフラーフェルトを動かすことができ、ハンマーと弦の間にフェルトが入り、音量をとても小さくできます。
そのような機種のアップライトピアノの真ん中のペダルは、低音ダンパーペダル(低音部だけ音が伸びる効果のペダル)、グランドピアノの真ん中のペダルと同じ効果のソステヌートペダルになってたりします。
左のペダル
グランドピアノ・アップライトピアノ共に、響きを弱める効果のペダルですが、全く違うやり方(構造)で効果を作り出しています。
ーグランドピアノー

シフトペダルやリフトペダル、ウナコルダ(1本の弦という意味)と呼ばれるペダルです。
まずはじめに、ピアノというものは、一つの音を出すのに、同じ音に調律した3本の弦をハンマーが同時に打って、音を鳴らしています。(低音は、太い弦で2本、音が低くなるにつれ、さらに太い弦1本で音を出しています。)
左のペダルを踏むと、鍵盤全体が右に少しずれます。ピアノの内部では、弦を打つハンマーを含め、たくさんの部品たちも、左のペダルを踏むことで、一緒にスライドしています。ただし!弦の位置は動きません。弦の位置は変わらないのに、ハンマーの位置が右にずれるので、普段3本同時に弦を叩いてるところが2本しか叩けなくなり、(2本同時に叩いているところは1本)、打たれる弦の数が減ることにより、音が弱まる仕組みになっています。
ハンマーの普段の弦が当たっているフェルトの部分は、弾いているとだんだん硬くなっていきます。そして、弦溝ができてきます。ただ、左のペダルを踏んだ時は、ハンマーがずれるので、普段弦が当たっていない柔らかいフェルトのところに弦が当たるため、音色がペダルを踏んでいない時より、柔らかい音に変化します。これは、アップライトピアノとは違う、グランドピアノの左ペダルの特徴ですね。
ーアップライトピアノー

ソフトペダルと呼ばれるペダルです。

ハンマーと弦の距離を近づけることにより、ハンマーの当たりを柔らかくし、響きを弱める仕組みになっています。若干弱まったかな?くらいです。騒音問題的に弱音にしたい場合は真ん中のペダル、演奏表現的に音を弱めたい時は、左ペダルというイメージです。

❸音の違い
グランドピアノとアップライトピアノは、①アクションの違いでお伝えしたように、構造が違うため、音にも違いがどうしても出てきます。
弦の長さの違いによって
構造上、アップライトピアノよりも、グランドピアノの方が、弦長が長くとれ、ピアノ全体が共鳴となるため、強弱の幅が広く、低音から高音まで、伸びやかに響きます。
アップライトピアノでも、サイズが大きいものと小さいものがあります。やっぱり、大きいアップライトピアノ方が、小さいアップライトピアノの方より、弦長が長くとれるので、音の違いは出てくるなと感じます。
響板の振動面積の違いによって
構造上、アップライトピアノよりも、グランドピアノの方が、響板の振動面積が広いため、音量の幅も広がります。
響板を開放的にできるか否かによって

グランドピアノが屋根を大きく開けることができます。それにより、響板からの直接音や反射音を耳で聴きながら演奏できるため、繊細な表現が可能です。音が濁らずクリアに響き、細やかなニュアンスや音色の変化を表現できるのは、グランドピアノの方が上回っているかなと思います。(その分、価格もグランドピアノの方が高価です。)

アップライトピアノは、通常、壁につけて設置されることが多く、おまけに、響板の前後が塞がれ、箱に覆われているような構造なので、音はこもりがちです。そのため、外装を透過した音での演奏になります。

トップサポートを使って、前屋根をすこーしだけ上げて、すこーし隙間を作り生の音を聴いて演奏をすることもできます。響板から発する音が前屋根に当たって反響し、演奏者やピアノの前にいる人の耳に届きます。自然な音抜けを感じ、本来のピアノの音色を楽しむことができます。一度試してみてください♪
ただ、ボディーが小さいため、屋根を開けて弾いたとしても、グランドピアノの音量にはかないません。
