ピアノの防音対策、これ1つで丸わかり🎹

こんにちは!
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
ピアノ調律師の吉田玲奈と申します。

ピアノの防音対策

ピアノの防音対策は、「音を小さくする」だけでは、不十分だったりします。
実は、音には、空気を伝わる音、床や壁を伝わる音、の2種類があり、それぞれ対策が異なります。

この記事では、調律師の視点から効果的な防音対策を分かりやすくご紹介します。

音の伝わり方は2種類

①空気伝搬音

空気中を伝わって耳に届く音
壁や窓の遮音性能が低い程、音が通り抜けやすく、音が隣室や屋外に漏れ出ます。また、隙間からも漏れ出ます。
ピアノ演奏でいうと、演奏音がそれにあたります。

②固体伝搬音

固体を振動させて伝わる音
床や壁、天井、柱など、固体が振動し、それを通じて、別の場所で再び、空気中に放射されて聞こえます。そして、①空気伝搬音も物体にぶつかると、②固体伝搬音に変化します。隣室、上下階だけではなく、斜め下の部屋などにも伝わるので、そこも気にかけると◎
ピアノ演奏でいうと、打鍵音、ペダル操作音、椅子の移動音がそれにあたります。

ピアノの場合は、低音は波長が長いため、空気伝搬音として隣室や屋外まで届きやすく、打鍵音やペダル音などは固体伝搬音として床や壁に伝わりやすいです。

デシベル(㏈)ってどのくらいの音?

数字が少し増えるだけでも、音の大きさは意外と変わります。

ピアノの防音グッズ

❶防音パネル

アプライトピアノの後ろに置きます。吸音材・遮音材を組み合わせた製品なら、より効果が期待できます。

低コストで対策できる方法も!
あくまで簡易的な対策ですが、段ボールや毛布を背面に付けると吸音効果が得られます。ただし!段ボールは、虫が発生しやすいため、長期間の使用は、おすすめしません。定期的に交換したりして、使用は良いかもしれないですね。少し、見た目は気になりますが・・・。

❷防音マット・ステージ

ピアノの下に敷くマット・ステージです。面で支えるので、床への荷重を分散し、床への負担を軽減させます。断熱してくれるものもあり、床暖房のあるお部屋に置かれている場合は、断熱してくれるマットを敷くことをおすすめします。

❸ゴム製インシュレーター

ピアノのキャスターの下に敷く部品です。
インシュレーターは、下への振動を抑え防音効果を高める、床に傷がいかないように予防、ピアノが動かないよう固定する役割があります。特に、ゴム製が防音効果や地震などの揺れに強く、おすすめです。
詳しくは、ピアノの下に敷くコレなあに?でご説明しております。
ご興味ある方は、ぜひ、ご覧ください!

❹消音ユニット

弦をハンマーが打鍵しないよう直前で止め、センサーで打鍵情報を読み取り、サンプリングされた音を発音する機械をピアノに搭載したものです。
ただし!
固体伝搬音は残るため、床への防音対策は必要になってきます。

消音ユニットは便利ですが、構造上、どうしてもハンマー接近を広く調整する必要があるため、演奏する方によっては違和感を覚えることがあります。あまり気にならない方もおられますが、演奏者によっては、強弱(特に弱い音のコントロール)や連打がしづらいと感じたりすることも。また、生ピアノは、弦をハンマーで打って発音していますが、消音時は、消音バーが弦を打つ前にハンマーをストップさせるので、弦を打った時、消音バーで止められた時、それぞれ弾いたときの感触が変わったと感じたりすることがあります。さらに、多くの金属部品を取り付けるため、部品同士が共鳴して雑音の原因となることもあります。

置く場所に余裕があるのであれば、設置費用によっては、電子ピアノと生ピアノの2台持ちという選択肢もありかなと私は思います。

Q.47 消音ピアノってなあに?Q.48 電子ピアノと消音ピアノの違いは?Q.49 ピアノと消音ピアノ、タッチの差はある?という投稿でもご説明しております。
ご興味ある方は、ご一読ください♪

❺防音カーテン

窓は、壁よりも薄く、音漏れがしやすい箇所です。
厚手で密度の高い防音カーテンが◎

❻防音テープ

隙間から伝わる音を軽減します。

❼じゅうたん・カーペット

音を吸音してくれます。

❽本棚・タンス

ピアノを置いている部屋と隣室側の壁面に、高い家具を置くことで、簡易的な防音壁になります。
本や衣類が入っていると、吸音効果も期待できます♪

❾防音室

防音室は、演奏音や打鍵音などを大幅に軽減できる、最も効果的な防音対策の一つです。

マンションや住宅密集地でも時間を気にせず練習しやすくなるため、本格的に防音対策をしたい方におすすめです。
※マンションの場合、管理規約でリフォームや楽器の演奏に制限が設けられていることがあるため、事前に確認しましょう。

一方で、設置には高額な費用や十分な設置スペースが必要になります。また、完全防音ではありません。防音性能や部屋の広さは製品によって異なるため、目的に合わせて選ぶことが大切です。

その他の防音の工夫

⓵設置場所

☆アップライトピアノの場合、壁からの距離を確保する

☆戸建て→外壁に面していない壁側
 マンション→お隣さんとの共有の壁に面してない壁側
 ↳に設置

外壁側・隣室側に設置すると音が伝わりやすいため、できるだけ、家の中心側へ設置するのがおすすめです。

⓶本体の工夫

☆屋根を閉めて演奏

防音を優先する場合は、屋根を閉めて演奏すると音漏れを抑えられます。ただ!グランドピアノの場合、本来は、屋根を開けた状態で、最も良い響きになるよう設計されています。

☆マフラーペダル

一般的に、アップライトピアノの真ん中のペダルに、こちらの機能が付いています。
ハンドマフラーとして、マフラーペダルと同じ効果になるレバーが別のところに付いているピアノもあります。
音量を約1/3程度まで抑えられます。

Q.33 アップライトピアノ、真ん中ペダルの効果はなんでしょう?でご説明しています。ぜひ~。

響板の違いにより防音対策も少し変わる

響板とは、弦の振動を大きく豊かな音として響かせる重要な木の板です。いわゆるスピーカーの役割を果たしている部品です!

アップライトピアノ

↳ピアノ背面に位置

音が壁や床を伝わって、隣室や上下階に漏れやすいです。
木の箱のように覆われている構造のため、グランドピアノより、こもった音に感じる方もおられます。

ピアノの背面・床への防音対策が重要です。

グランドピアノ

↳床と水平に位置

響板から響く直接音、屋根からはね返る反射音の両方から、上下方向にクリアな音が耳に届く構造なので、部屋全体に音が響きやすいです。
一般的には、アップライトピアノより、音が大きく感じられることが多いように思います。そして、屋根を開けると、さらに音が広がります。

部屋全体・床への防音対策が重要です。お部屋全体に音が広がるので、防音室を検討するというのも、一つの手です。また、上記の防音対策グッズでご説明してませんでしたが、響板を覆って音を抑えるグッズなどもみかけます。

大切なこと~近隣の方への配慮~

近隣の方との関係を良好にしておくこと!これが一番大切です!
お互いに気持ちよく生活できる環境を整えておくことが◎
そして、楽しいピアノライフを♪

音の特性的に自宅付近で発生している環境騒音よりも、演奏音を抑えることができれば、近隣の方にとって気にならない音に!

ちなみに、環境省が定める環境基準(騒音)
住宅地 昼:55㏈以下 夜:45㏈以下
住宅地で2車線以上の車線に面する地域 昼:60㏈以下 夜:55㏈以下
※環境省「騒音に係る環境基準」を参照
あくまでも基準ですが、これ以上の値になると、騒音になる可能性が!

※環境騒音とは・・・いわゆる雑音
 室内だと、換気扇、エアコン、冷蔵庫など、電化製品の音
 屋外だと、車、生物の鳴き声、風や雨の音など

住まい選びの一つの考え方として

我が家の場合ですが・・・

今→車通りが比較的多い+踏切が近い
  ↳音に敏感な方は住みにくいのではないか?

前に住んでいたマンション→線路沿い+踏切が近い
  ↳防音性能がしっかりしたマンションが多い

ピアノを演奏する機会が多い方は、住まい選びの際に、周辺環境や建物の防音性能も選ぶ一つのポイントにするのも良いのかもしれません。

まとめ

防音で大切なのは?

✔️演奏音を減らす
✔️床への振動を減らす
✔️音漏れする場所を対策する
✔️近隣への配慮

防音対策は、一つだけでは十分な効果が得られないこともあります。

「演奏音」と「床への振動」の両方を意識して対策することが大切です。

本格的に音漏れを抑えたい場合は、防音室も選択肢の一つです。
私自身も自宅に防音室を設置していますが、時間を気にせず練習や作業ができるようになり、とても助かっています。

ご自宅の環境に合った方法を選び、快適なピアノライフを楽しんでいきましょう♪

※数値はメーカー資料や公的資料などを参考にした目安です。
 住宅環境や測定条件によって異なります。